以前、塩の雑学コラムで紹介した「サラリと塩字源考」の中で、塩は“通貨”だったというお話をしました。
古代ローマでは、兵士の給料を塩で払っていた時代がありました。 古代ローマだけではなく、歴史の中では塩を通貨として使っていた例がいくつか存在します。
奴隷と塩を交換
古代ギリシア人が奴隷を買う際に使われたのが「塩」だったと言われています。 奴隷と同じ重さの塩と、奴隷を交換したのです。 人間と塩がイコールで取引されるほど、塩は古代では高価で貴重な物だった事がわかります。
人間ではありませんが、日本でも塩は物々交換に使われていました。 塩造りで生計をたてる人々が、米などの穀物と塩を交換していたのです。
税金は塩
中国では、塩に重い税をかけていた時代もありました。 中国は日本より遥かに広い国土を持っていますが、塩の産地は少なかったので、塩は国を支える大変重要な財源になりました。
そのため、許可無く塩を作ったり売ったりする事は重罪であり、重い罰が与えられました。
日本の江戸時代でも、塩は藩を支える貴重な財源でしたので、塩の密造・密売等は厳しく取り締まられました。
政治経済と深く結びつく塩
現代において賄賂と言えばお金ですが、昔は塩が賄賂に使われた事もありました。 塩は歴史の中でお金と同等の価値を与えられ、物々交換や経済発展に関わってきたのです。 塩無くして人は生きていけません。だからこそ人々は、塩にお金と同等、あるいはそれ以上の価値を見出したのかもしれません。