今回はよく見かける盛り塩のお話です。
最近の和ブームで、和の雰囲気を大切にしたお店が増えてきましたね。 ちょっと落ち着いたいい感じのお店の軒先きでよく見る盛り塩は、お店の雰囲気を盛り上げ、ちょっと高級な雰囲気も醸し出しますよね。
盛り塩はお客様を呼ぶおまじない?
盛り塩の始まりは、中国が晋の時代に初代皇帝が中国を統一したころと言う説があります。絶対的な権力を持っていた皇帝は三千人もの美女をかこっていたと言われています。皇帝は毎夜その三千人の美女の家を渡り歩くわけですが、それだけたくさんの美女がいれば、同じ美女のところに2度目に訪れるのはよくて数年後。美女も待ちくたびれてしまいます。 もちろん美女も皇帝の寵愛を一人占めしようとあの手この手を講じます。 そこである美女は考えました。 当時、皇帝は牛車を愛用していました。ゆえに「牛が止まれば皇帝も止まる」と考えた美女は、自分の部屋の前に「盛り塩」をしておきました。すると、塩を好む牛は足を止めてずーっとなめ続けています。皇帝も今夜はここで・・・となります。
これが毎夜続き、この美女は皇帝の寵愛を一身に集めることができました。 このお話がもとで、盛り塩は客を招く、福を招くというように考えられ、定着したと言われています。 これに似たお話は日本にもあり、奈良平安時代には盛り塩の風習があったようです。清めの目的の他に、貴族の乗る牛車の牛の大好物である塩で牛を戸口に留まらせ、それが縁で貴族に目をかけてもらうことがあったそうです。
呼び方いろいろ
日本では、小料理屋や料亭、寄席などの日本の伝統文化を引き継ぐお店や建物には欠かせないものとなり、縁起を担ぐために、掃き清めた門口に塩を小さく盛ります。「盛り塩」と呼ぶのが一般的ですが、清め塩、盛り花、口塩、塩花と呼び方もいろいろあります。
他にも地鎮祭で四隅に盛り塩をしたり、神事の供え塩などもあります。古くには、花柳界では必ず盛り塩をしたと言われています。
盛り塩のしかた
小料理屋さんなどでよく見かけるように、玄関の両脇に直接、または小皿や台座の上に直径5~10cm、なるべく高く塩を盛ります。置く前に玄関は綺麗に掃除しておきます。
少し水分を加えるときれいに形つくられるそうです。フレーク塩なら、湿り気もあり若干作りやすいかも知れません。
風水グッズが売っているお店などでは、盛り塩を作るための型も売っているようなので、探してみてはいかがでしょうか? 盛り塩には気を浄化するという「浄め」の意味も含まれていますので、精製塩ではなく天然の粗塩を使います。
盛り塩の交換は、3日、1週間、1ヶ月と様々。使い終わった塩も捨てたり、再利用したり(キッチンのにおい消しなど)、土に還すなどこちらも様々。近くでも盛り塩をしている人に聞いてみるのもいいですね。