塩コラム 「塩味」岡田 正紀
「塩の雑学コラム・塩(緑)は、異なもの味な物もの」
11月のコラムは『「断(た)ち物」談義』です。 願い事のために大好きな物を断(た)ち願掛けするお話。
日本には神仏に願をたてるとき、自分の好きなものを断って立願する風習があり、「茶断ち」や「酒断ち」「塩断ち」などという言葉があります。
十返舎一九の「続膝栗毛」には、酒断ち物にすることが記されています。
能登地方では願掛けのとき、何時から何時まで塩を断つという習慣もあり、青森県の弘前地方では、毎日午前十時まで塩を断つという“時間制限”の塩断ちがあるそうです。
かわった塩断ちでは「日本塩業大系・持論民族」に、茨城県の筑波地方で5月16日は塩断ちと呼び、田植えをしなかったとあり、一種の物忌みが行われてたと推測されています。